第三章　下地調整

3・1 下地基材面の検査

下地基材面は次の項目を検査して、下地調整の対策を立て る。はつりあとの穴、不陸、ボード類の取り付け不良・傾斜など、 通常の方法では納まる仕上げが出来ない恐れがある場合、また は、防かび処理など特別 な処理が必要と思われる場合には、施 主または現場監理者に申し出てその指示をうける。

    1. 下地基材面の埃、汚れ、傷、記入物等の有無。
    2. コンクリート、モルタル等は穴、不陸、凹凸、アクの付着等。
    3. ボード類は、下地への取り付け状態、釘・ビス等の頭、傾斜等の有無、ジョイント部の目違い、不陸、隙間、出隅・入隅の状態等。
    4. 下地基材の乾燥状態は、水分計で測り8～11%以下であること。
    5. 下地基材面の色違いの有無。
  1. 基材の吸水性
  2. かび発生の恐れ、水、湿気についての室内環境。

 

3・2 面の清掃

面の埃、汚れ、油脂分、異物など接着を妨げるものはきれいに 取り除く。面 にサインペン等での記入がある場合は溶剤等で拭きとる、又は、サンダーで擦って全部取り除く。

 

3・3 防さび処理

下地面の釘、ビス等の金属は、さび止め用のビニル溶液等を塗布して防錆処理をおこなう。

 

3・4 除かび、防かび処理
  1. かび発生の恐れがあるカ所は、現場監理者を通じて施主に防かび処理を提案し、承諾を得た場合、その工事を追加施工する。
  2. 既にかびが生えているカ所は、前記の手続きを行い承諾を得たうえで消毒用アルコールまたは除かび剤を塗布・散布するなどして除かび処理を行う。
  3. 防かび処理は、薬剤メーカーの仕様に基づいておこなう。

 

3・5 面の平滑化

下地基材面は以下の各項により平らにつくる。

 

3・5・1 面の平滑度

下地基材面の平滑度は、施工のグレード、壁紙の凹凸に対する隠蔽性等を考慮し、次のうちのいずれかを選択する。

平滑度 評語 施工可能な壁紙の種類（参考例）
1級 極(鏡面様に)く平滑 鳥の子、シャンタン、反射柄等の壁紙および以下の各欄の壁紙
2級 十分な平滑さ 薄手無地系の紙・織物・ビニル壁紙および以下の各欄の壁紙
3級 通常の平滑さ 紙柄物、中厚の織物、非発泡ビニル壁紙および以下の欄の壁紙
4級 平らな粗面 厚手織物、発泡・厚手ビニル壁紙

 

3・5・2 コンクリート等の 面の平滑化

コンクリートおよびALCパネル面の平滑化は平滑度の要求に応じて次の作業をおこなう。

作業 資材等 1級 2級 3級 4級
1.下地調整塗り・乾燥後研磨紙ずり JIS A6916仕上塗材用下地調整塗材 〇 〇 〇 〇
2.パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 合成樹脂エマルションパテ 〇 〇 〇 〇
3.平滑度点検・1の作業で修正   〇 〇 〇  
4.平滑度点検・1の作業で修正   〇      

 

3・5・3 モルタル面の平滑化

モルタル面の平滑化は平滑度の要求に応じて次の作業をおこなう。

作業 資材等 1級 2級 3級 4級
1.下パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 下塗り用パテ 〇 〇 〇 〇
2.中パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 下塗り用パテ、上塗り用パテ 〇 〇 〇 〇
3.平滑度点検・2の作業で修正 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇 〇 〇  
4.平滑度点検・2の作業で修正 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇      

3・5・4 合板面の平滑化

合板の面の平滑化は平滑度の要求に応じて次の作業をおこなう。

作業 資材等 1級 2級 3級 4級
1.下パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 下塗り用パテ、上塗り用パテ 〇 〇 〇 〇
2.上パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 上塗り用パテ 〇 〇    
3.平滑度点検・1の作業で修正 上塗り用パテ(エマルション樹脂パテ) 〇      

3・5・5 石こうボード・テーパーエッジボードの面 の平滑化

石こうボードのテーパーエッジボードの面の平滑化は平滑度の要求に応じて次の作業をおこなう。

作業 資材等 1級 2級 3級 4級
1.コーキング処理 コーキング剤 〇 〇 〇 〇
2.下パテ塗り 下塗り用パテ 〇 〇 〇 〇
3.ジョイントテープ張り 紙又はガラス繊維布製テープ 〇 〇 〇  
4.中パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 下塗り用パテ 〇 〇 〇 〇
5.上パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇 〇 〇 〇
6.平滑度点検・5の作業で修正 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇 〇    
7.平滑度点検・5の作業で修正 上塗り用パテ(エマルション樹脂パテ) 〇      

 

3・5・6 石こうボード、その他のボード面 の平滑化

石こうボードのべベルボード、その他のボード面の平滑化は平滑度の要求に応じて次の作業をおこなう。

作業 資材等 1級 2級 3級 4級
1.コーキング処理 コーキング剤 〇 〇 〇 〇
2.下パテ塗り 下塗り用パテ 〇 〇 〇 〇
3.中パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 下塗り用パテ、上塗り用パテ 〇 〇 〇 〇
4.上パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇 〇 〇  
5.平滑度点検・4の作業で修正 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇 〇    
6.平滑度点検・4の作業で修正 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇      

 

3・5・7 ケイカル板等吸水性大の下地基材面 の平滑化

ケイカル板等吸水性大の下地基材面の平滑化は平滑度の要求に応じて次の作業をおこなう。

作業 資材等 1級 2級 3級 4級
1.コーキング処理 コーキング剤 〇 〇 〇 〇
2.シーラー塗布 エマルジョン又は溶剤型シーラー 〇 〇 〇 〇
3.パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 下塗り用パテ、上塗り用パテ 〇 〇 〇 〇
4.上パテ塗り・乾燥後研磨紙ずり 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇 〇 〇  
5.平滑度点検・4の作業で修正 上塗り用パテ(エマルジョン樹脂パテ) 〇      

 

3・6 シーラー塗布

下地基材面にはシーラーを塗布する。採用するシーラーは原則としてエマルション型とするが、下地基材の種類や現場の状況から、やむを得ず溶剤型を用いる場合は、施主または現場監理者の承認を得た上で行う。シーラーの種類、配合等は、次に掲げる目的を考慮して決める。

  1. 吸水性の調節
  2. 下地からのアルカリ、水分の滲出の防止
  3. 下地表面の強化、安定化
  4. 下地の色違いの修正
  5. 張り替えの際の剥がし易さを確保する

 

3・7 下地の色違いの修正

下地面に目立つ色違いがある場合で、壁紙がJIS A6921の隠蔽性4級に満たないものを施工するときは、下地面 にカラ ーシーラー等を塗布して均一な色調に整える。