4・1 壁紙の点検
施工に際しては、事前に次の事項について点検し、施工計画を確認する。
作業項目 |
1.商品・品番・素材・数量・ロット番号 |
2.柄・リピート |
3.色むら・色違い・プリントむら・絞むら・柄の狂い・傷・しわ・汚れ等の有無 |
4.下地の凹凸および下地色違いの隠蔽性 |
5.材料の丈夫さ、ほつれ、折り曲げ、合い剥ぎ等での強さ |
6.防かび性、汚れ防止性、表面強度等の機能性 |
4・2 試験張り
新規に扱う壁紙については、事前に次のテストをして施工対策をたてる。
作業項目 | 摘要 |
1.伸縮性試験 | 90cm角に切った壁紙に糊付けし10分刻みで伸縮を測る |
2.試験張り | 数枚張り繋ぎ、ジョイント、折り曲げ等の施工適性をみる |
4・3 現場採寸
施工に際しては、改めて現場を実測し寸法を確認する。
4・4 張り作業の計画
設計図書、作業指示書等と、現場の下地、張る壁紙の種類を確認したうえで、張り作業並びに施工のグレードについての計画をたてる。その主な事項は次のとおりである。
作業項目 | 摘要 |
現場割付 | 割付計画の確認並びに現場における割付 |
ジョイント方法の選択 | 1.突き付け張り 2.重ね張り 3.重ね裁ち |
スミ出し | 1.張り出し基準線の設定 2.水糸 |
施工手順等の確認 | 1.作業の進行と張り方の細部の計画 2.共働者との連携 3. 副資材類の種類・銘柄の選択 |
4・5 割付
設計図書で割付についてとくに指示がない場合は、施主または現場監理者の承認を得て次のような一般 的方法により割り付ける。
作業項目 |
1.天井は、外光の差し込む方向ならびに照明器具との関係を考えて割付る。 |
2.壁は部屋のポイントになるものを中心に考える。ポイントが無い場合は広い部分、目立つ部分を主にして割り付けを考える。 |
3.目立つ部分に細い幅のものを入れない。 |
4.部屋に張り出している柱は正面側にジョイントがこないよう割付る。 |
5.下地ボード類継ぎ目と壁紙のジョイントが重ならないように注意する。 |
4・6 機械類、作業台の 設置
機械類、作業台の設置場所は、作業効率を考えるとともに作業の安全性、既成部分に損傷を与える恐れのないことを考慮して選ぶ。
4・7 壁紙の裁断
壁紙の裁断は次の作業による。
作業項目 | 摘要 |
丈の裁断 | 張る面の寸法より若干長めに裁つ。壁紙が柄物の場合は、柄合わせに必要な柄のリピート分を更に加えた長さで裁つ。 |
幅の裁断 | 1.突き付けまたは重ね張りする場合の幅裁ちは、所要の寸法を正確に求め、狂いや曲がりなく裁つ。 2.織物壁紙の場合は、裁断後直ちに小口をのり止めする。 3.柄物の場合は、柄合わせを確認して裁つ。 4.無地物は、有効幅の外側の部分を使わないように注意する。 |
重ね裁ちの幅裁ち | 原則として、上口側のみみを落として柄合わせし易くする。 |
4・8 接着剤の選択
接着剤は、壁紙と下地との関係を見て次の各種から撰ぶ。
接着剤の種類 |
1.澱粉系接着剤 |
2.エチレン酢ビエマルジョン |
3.酢ビグラフト重合樹脂 |
4・9 接着剤の配合
接着剤の配合は、でんぷん系接着剤80部とエチレン酢ビ共重 合樹脂または酢ビ系グラフト重合樹脂20部とし、これを水30部で希釈したものを標準とする。ただし、壁紙製造メーカーが商品に対し接着剤を指定している場合はその仕様による。
4・10 接着剤の塗布
- 手作業による糊付けは、回り糊、中糊を基本とする。
- 機械糊付けは次の点に注意して行う。
- メーカーが指定する以上に水で薄めない。
- 糊がかすれたり不均一にならないようにする。
4・11 接着剤等の塗布量
接着剤の塗布量は、下地調整に用いるシーラー、プライマー及 びジョイント部分に埋め込むテープ等を含めた合計の重量 が 30g/平方メートル(固形分)以下とする。
4・12 養生(熟ませ)時間・オープンタイム
壁紙は糊付け後、糊付け面を合わせてたたみ、壁紙張りに適した状態になるまでの養生時間(熟ませ時間)をとる。その方法は次による。なお、養生時間が30分以上必要なものの場合は、プラスチック製の袋などに入れ乾燥を遅らせる処置をとる。
作業項目 |
1.壁紙メーカーが指定するものについてはその指定による。 |
2.伸縮性試験の結果で決める。 |
3.試験張りの結果で決める。 |
4・13 張り出し基準線
天井は割付計画に基づいて張り出し基準線をスミ打ちして出す。壁は下げ振りで垂直線を求めて張り出し基準線を出してスミ打ちする。横張する場合は水平をみて張り出し基準線をスミ打ちして出す。
4・14 張り出し
- 天井は始めの1メートルほどを張り出し基準線に正確に合わせて壁紙を配置・仮張りし、正しい位 置におけたことが確認できたら基準線に添って張り進む。
- 壁は、壁紙の柄をみて頭を決め、壁上部の見切りに頭がくるようにし、同時に、壁の張り出し基準線に合わせて仮張りする。正しい位 置におけたことが確認できたら撫でつけて張り付ける。
4・15 撫で付け
撫で付けは、壁紙の裏側の空気を追い出すように全体に丁寧に撫でるが、撫でる方向は原則として上下とし、横には強く撫でない。
4・16 へら押さえ
上端、下端、入隅などのコーナー部分は、へらで良く押し込みしっかりと角を出す。
4・17 ローラー掛け
壁紙の四周のへり、壁紙のジョイン部等はローラーで押さえて良く圧着せしめる。
4・18 ジョイント
壁紙のジョイント作業は次による
作業項目 | 摘要 |
柄および目合わせ | 隣り合う壁紙だけでなく全体も合わせる |
色・艶違いの点検 | 不良は材料交換。方向違いに張らない。ジョイントは壁紙の端部同志で合わせる。 |
テープによる養生 | 原則として上口側のへりに養生テープを使う。 |
捨て糊、ジョイントベタ | 原則としてジョイント部の接着補強をする。コーク差しも可。 |
ジョイントの方法の選択 | 1.突きつけ張り 2.重ね張り 3.重ね裁ち |
重ね裁ちの対策 | 1.下地面を切らないよう下敷き等をして裁つ。 2.下敷きなしのときはジョイント補強用テープを張る。 3.壁紙が重なる部分はテープで養生する。 |
清掃 | 既成部分、壁紙等の糊汚れは直ぐ拭き取る。 |
4・19 切り付け
上下、左右などの余分な壁紙は切り付けて取り除くが、その作業は次による。
対象の部分 | 作業 |
回り縁、幅木、柱などが木の場合 | 1~2mm程長めに切る。コークを差す。 |
ボード類下地の場合の入隅 | 1~2mm程長めに切る。コークを差す。 |
金属のドア枠等での場合 | 金属表面に刃が当たらないよう切る。コークを差す。 |
4・20 入隅の処理
- 壁紙は原則として入隅で切り、張り廻さない。
- 施主又は現場監理者より張り廻すよう指示されている場合 は、これにしたがう。
4・21 仕上げ
張り付けた壁紙の表面、並びに、既成部分等に過って糊等を付けた場合は直ちにきれいに拭き取る。壁張り完了後もあらためて点検し、汚した部分を良く拭き取ってきれいにする。