Wall decoration a study circle.

室内環境


厚生省の指針値

厚生省は平成9年6月にホルムアルデヒドの室内濃度指針値を提案して以来、他の化学物質についても相次いで指針値を公表しています。その内容は次の通りです。これは、室内空気質の安全性を知るためのガイドラインを求める声に答えたものです。

 

厚生労働省の室内濃度指針値
揮発性有機化合物 健康への影響 室内濃度指針値※ 適用(設定時期)
ホルムアルデヒド 0.4ppmで目の刺激・0.5ppmで喉炎症の閾値。3ppmでは目や鼻に刺激。 100μg/
立方メートル
(0.08ppm)
合板、パーティクルボード、壁紙用接着剤等に用いられる尿素、メラミン系、フェノール系等の合成樹脂や接着剤の原料となるほか、のりの防腐剤、繊維の縮み防止加工剤等。(平成9年6月)
トルエン 高濃度の短期暴露で目や気道に刺激があり、精神錯乱、疲労、吐き気等中枢神経に影響。 260μg/
立方メートル
(0.07ppm)
接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤に用いられる。内装材施工用接着剤、塗料等から放散。建材だけでなく家具類にも用いられる。 (平成12年6月)
キシレン 高濃度の短期暴露ではトルエンと同様。 870μg/
立方メートル
( 0.20ppm)
接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤等として、通常は他の溶剤と混合して用いられる。内装材等の施工用接着剤、塗料から放散。家具からも同様。(平成12年6月)
パラジクロロベンゼン 高濃度短期暴露で目、皮膚、気道が刺激され肝臓、腎臓に影響を与える。 240μg/
立方メートル
(0.04ppm)
衣類の防虫剤やトイレの芳香剤として使用される。(平成12年6月)
エチルベンゼン 短期暴露で蒸気がのどや目に刺激。高濃度では目眩や意識低下、中枢神経に影響。 3.8mg/
立方メートル
(0.88ppm)
合板や内装材等の接着剤、塗料等。建材だけでなく家具類も同様。(平成12年9月)
スチレン 600ppmで目や鼻に刺激。800ppmになると目や喉に強い刺激、眠気や脱力感。 220μg/
立方メートル
(0.05ppm)
ポリスチレン樹脂、合成ゴム、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、イオン交換樹脂、合成樹脂塗料等に含まれる高分子化合物の原料として用いられる。(平成12年9月)
フタル酸ジ-n-ブチル 高濃度の短期暴露で、目、皮膚、気道に刺激を与えることがある。 220μg/
立方メートル
(0.02ppm)
塗料、顔料や接着剤に、加工性や可塑化効率の向上のために使用される。(平成12年9月)
クロルピリホス アセチルコリンエステラーゼを阻害する。急性中毒では重症の場合、縮瞳、意識混濁、痙攣等をおこす。 1μg/
立方メートル
(0.07ppb)小児の場合は
0.1μg/
立方メートル
(0.007ppb)
防蟻剤として使用される。(平成12年9月)

また、TVOC(総揮発性有機化合物)についても、暫定目標値を提示していますが、それは次の通りでする

新築の場合  1000μg/立方m
中古の場合   400μg/立方m

なお、WHO(世界保健機関)が示している「VOCの長期低濃度暴露に関するガイドライン」では、ホルムアルデヒド100μg/立方m(0.08ppm)。TVOC300μg/立方mとされています。

ただし、実際に生活している部屋についてのTVOCを考えてみますと、化粧品や殺虫、殺菌剤などからの揮発性有機化合物も加わりますので、純粋に建材だけからの化合物を測定するのは難しいものと思われます。

 

壁紙からのVOC

ビニル壁紙からホルムアルデヒドがどれくらい放散されるのかを、壁装材料協会が英国の試験機関に依頼し、1立方mチャンバー法で測定してもらった結果では、多いもので7μg/?でした。これは、厚生省指針値の10分の1に満たない数値です。外気中のホルムアルデヒド濃度と同程度とされています。

 

壁紙施工用接着剤のホルムアルデヒド

シックハウス問題が大きく取り上げられるようになったため、壁紙用接着剤のメーカーはホルマリンを原料に用いなくなり、ホルムアルデヒドを検出しないものに切り替わっております。

 

安全性に配慮した壁紙の規格

壁紙メーカーは、室内環境の安全性を考慮して設けられたドイツのRAL規格に合格するものか、これに習って作られたISM規格、RALとほぼ同様な試験方法と規格値を設けた業界規格のSV規格か、いずれかに合格するものを市販しております。因に、ホルムアルデヒドの放散量はRAL、SVともに0.05ppm以下と定めています。また、厚生省のVOCに関するガイドラインにも適合する商品を供給しております。詳細については、壁紙製品規格協議会(SV協議会)のホームページを御覧下さい。当ホームヘージとリンクされています。

 

安全性を考慮した壁紙の施工

壁装施工業者は、壁紙標準施工法でご覧いただけますように、室内環境の安全性に配慮された材料かどうかを、試験データ等により確認した上で施工いたします。施工業団体でも常に会員や技能者に向けた研修・講習等で知識と技術の向上に力を入れております。

 

カビ、ダニ対策

VOC問題とは別に、アトピー性疾患のアレルゲンとして古くから室内のカビ、ダニの発生が問題とされてきました。建材に防カビ、防虫劑を付与して、この被害を少しでも軽減したいというご要望は多く、対策を講じた商品、施工方法はたくさんあります。しかし、薬品の有効性を高めようとすると人の健康への影響が心配されますので、建材での対策には限界があります。そこで、政府機関が行った健康住宅研究会では、住まい手にも、窓を開けて室内の空気を入れ替えるなど、できるだけ室内に空気が流れるようにし、カビ、ダニの発生を押さえる工夫をした生活をなさるようお勧めしています。